パール・バックの小説 大地が面白い!あらすじ、舞台と時代背景、名言まで

オススメの本、レビュー

パール・バックの名作『大地』は、本当に心を揺さぶられる作品でした。

読んでいくうちに、ただ感動するだけでなく、まるで自分自身の内側が少しずつ変わっていくような感覚を覚えたんです。

 

その体験がとても深く印象に残ったので、今回はぜひ皆さんにもこの作品の魅力をお伝えしたいと思います。

この記事では『大地』のあらすじをご紹介しますが、どうか「ただの古い小説でしょ?」なんて思わないでください。
この本は、ストレス対策にぴったりの一冊だと、私は断言します。

私たちの人生には、常に苦しみや悩みがつきものですよね。
「なんで自分ばかりこんな目に遭うんだろう」と思う瞬間もきっとあるはずです。

でも『大地』は、そうした心のモヤモヤやストレスを抱えている人にこそ読んでほしい本なんです。

誰かに話しても理解されず、「もう誰にもわかってもらえない」と感じてしまう…。
そのまま感情が整理できないと、ストレスもどんどん蓄積してしまいます。

けれど、感情を言葉で整理=変換できれば、驚くほど気持ちが軽くなるんだそうです。
これがいわゆる「メタ認知力」というものなんですね。

『大地』を読み終えて感じたのは、「やっぱり人間ってそんなに完璧じゃないし、期待しすぎると苦しくなるよなぁ」ということ。
変に理想を抱いたり、「愛」に過度な期待をしてしまうと、かえって傷つくこともある。

もちろんこの小説には純粋な恋愛も描かれていますが、同時に犠牲やすれ違い、家族愛・愛人愛などさまざまな「愛の形」も登場します。
その複雑さがまた、人間らしくてとても興味深いんです。

さらに登場人物を通じて、「こういう人は信じてもいい」「こういう人は要注意だな」と、
人を見る目を養うヒントも得られるのが、この作品の面白いところでもあります。

今回はそんな『大地』のあらすじや主要人物の紹介に加え、時代背景や名言などもお伝えします。
「どんなストーリーか気になる」という方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

※ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
※なお、三谷幸喜さんの『大地』とは無関係です。

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大地 第一部

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パール・バックの『大地』とは? 〜作者紹介〜

『大地』は、パール・バックによる不朽の名作であり、彼女はこの作品と続編『息子たち』『分裂』の三部作でピュリッツァー賞を受賞し、後にノーベル文学賞も受賞しています。

物語の舞台は中国。街並みや人々の暮らしぶりが、まるでその場にいるかのように詳細に描かれており、そのリアリティに圧倒されます。

アメリカ人であるパール・バックは、幼少期から青年期までを中国で過ごした経験があり、そのため中国文化や人々の心情を深く理解したうえで、文章にリアルな息吹を吹き込むことができたのでしょう。

『大地』は映像化されている? 映画版について

「『大地』ってちょっと難しそうだし、映画で見られないかな?」と思い調べてみたところ、実際に映画化されていました。

しかし、それは1937年にアメリカで制作されたもので、やや残念なことに、当時のハリウッドの事情もあり、中国人の登場人物を白人俳優が演じていました。衣装やメイクで雰囲気は出しているものの、リアリティには欠けており、原作の深さや空気感が十分に伝わらない印象でした。

この名作には、現代の技術と視点で再び命を吹き込んでほしい――そう思わずにはいられません。いつか、忠実かつ感動的なリメイクが実現することを願っています。

しかも、出演者が白人で中国人の衣装を着ているため、リアリティに欠けている印象でした…残念です。

 

『大地』あらすじ(ネタバレあり)|パール・バック

パール・バックの代表作『大地』は、農夫・王龍(ワンルン)と妻・阿藍(オーラン)を中心に、中国の農村の厳しい現実と家族の変遷を描いた壮大な物語です。

貧しい百姓・王龍(ワンルン)と奴隷の妻・阿藍(オーラン)

王龍は、土地に生きるただの農夫。
彼は裕福な名家・黄家に仕える奴隷の女性、阿藍と結婚します。ふたりは貧しさのなかで家族を支え合い、懸命に生きていくことになります。

物語の冒頭、王龍は病気の父親を介護しながら日々の農作業に追われています。
家がどれほど貧しかったかというと──父に飲ませるのは白湯のみ。「茶葉を使うなんて贅沢だ!」と叱られるほど。
※お茶の葉は、当時はちょっとした高級品だったのかもしれません。

嫁を迎える日も、身なりを整えようとお湯を沸かす王龍。しかし父からは「湯を無駄にするな」とまた一言。
──び、貧乏ですね……

 

介護と労働に追われる若き農夫

王龍はまだ若いのに、父の介護を一手に引き受けています。
※現代で言えばヤングケアラーです。

朝早くから起きてお湯を沸かし、父の食事を準備し、先に食べさせ、自分は急いで畑へ。
朝から晩まで働き詰めで、生活にも心にも余裕なんてありません。

嫁をもらいに行った先でも差別される

そんな王龍(ワンルン)も、父から「そろそろ嫁をもらえ」と言われます。
父が話をつけたのは、地主で金持ちの黄家(こうけ)の奴隷、阿藍(オーラン)。

阿藍を迎えに行くとき、黄家の門番から「金をよこせ」と言われ、屋敷の中では貧乏人扱いで笑われ続けます。
王龍(ワンルン)は恥ずかしくてたまらず、阿藍(オーラン)を連れて帰るときには、笑われた道を避け、わざわざ別の道から帰るほどでした。

働き者の王龍(ワンルン)、土地の価値に目覚める

王龍(ワンルン)は畑仕事が大好きで、朝から晩までよく働きます。
そして彼は、まわりの百姓たちとは違って、お金を散財せず、しっかりと貯金をするのです。

「土地さえあれば、作物が増える。作物が増えれば収入も増える」──
そう考えた王龍(ワンルン)は、黄家の人々から少しずつ土地を買っていきます。

その結果、作物の収穫量も増え、さらにお金が貯まり、また土地を買い足す──
王龍(ワンルン)はこうして、貧しさから抜け出していくのです。

お金を無駄にせず、土地に投資していく王龍(ワンルン)──賢い!偉い!と感心してしまいますね。

叔父がマジでムカつく 匪賊(ひぞく)の居候 家族のイザコザ

さて、この小説でも問題は山積みです。

親父が介護をがんばっていたり、いろいろあるのですが──
特にムカつくのが「叔父(おじ)」!

父の弟にあたるこの叔父、
ロクに働かず博打(ばくち)ばかり、
しかも「メシくれ」「銀(ぎん=お金)くれ」と王龍(ワンルン)にたかってきます。

もちろん王龍(ワンルン)はこの叔父が大嫌い。
だけど、中国では儒教の影響で「年長者を敬わないと恥」みたいな風潮があって、
しぶしぶ食べ物や銀を渡すんです。完全に支配構造…。

そんな中、飢饉(ききん)が起こって王龍一家もマジでピンチ。

草を食べたり、虫や土すら食べるほどの大飢餓。
銀貨があっても、食べ物がどこにも売ってない。

そんな中で、あの叔父がやってきて──

「お前んとこにはメシあるやろ、寄越(よこ)せ!」

当然、王龍は「ない」と断ります。
が、叔父はクズで、「あいつんとこ、実は隠してるぞ〜」と近所に言いふらす。

結果、家は襲われ、家財は壊され、隠していた豆まで奪われる始末。

いやもう、叔父、ほんまに死んでくれ。

飢餓で死にかけ、南へ逃げる王龍(ワンルン)一家

そんなわけで、家は荒らされ、食べ物もナシ。
一家は「南に行けばなんとかなる」と列車で街を目指します。

ギリギリで到着した街では、
金持ちが「銀一枚でご飯配る」など豊かな様子。

王龍一家はとりあえず餓死を免れますが、ここからが本当のサバイバル。

王龍はプライドがあるので、物乞いはせず、荷車(にぐるま)で客を運ぶ仕事を開始。
重労働でヘトヘトですが、なんとか踏んばる。

一方、阿藍(オーラン)や子どもたちは乞食(こじき)で日銭を稼ぐ日々。

転機は「暴動」からやってきた!

そんなある日、街で貧乏人たちによる暴動が発生!

「金持ちばっかりズルい!」と群衆が金持ちの家に乱入。

その混乱に乗じて、王龍はラッキーにも銀貨をゲット!

これで種が買える!地元に戻ってまた畑ができる!

──というわけで、クソ叔父にぶっ壊された生活から、
少しずつ再生の道が開けていくのです。

商才のある王龍は金持ちになるが…傲慢がゆえに間違いを犯す

さて、元の土地に戻ってきた王龍(ワンルン)は、喜んで畑仕事に勤しみ、収穫したものをうまく貯蓄し飢饉に備えながら、畑をどんどん大きくしていきます。

王龍(ワンルン)は多くの土地を持ち、安定して収入を得て、家族一人あたりに奴隷を使えるぐらい金持ちになります。

しかし、金を持てば人は調子に乗るもの。

王龍(ワンルン)は雨続きで不作の年に、暇つぶしに茶館に訪れた時に、商売女にハマってしまいます。

毎日通っては、性欲をあらんかぎり使って、お金をねだられては貢いで、阿藍(オーラン)が宝物としてしまっていた真珠まで、王龍(ワンルン)が取り上げ、愛人に上げる始末…。

なんと商売女にハマりすぎて、第二夫人として家に迎え入れるということをしてしまいます…

阿藍(オーラン) 可哀想…。

阿藍(オーラン)の不運さ、女性軽視、女性差別のキツさ

さて、王龍(ワンルン)をただの百姓のときから支え続けてきた阿藍(オーラン)は王龍(ワンルン)が家に第二夫人を招き入れられ裏切られることになります。

でも、今の時代と違い阿藍(オーラン)は、文句を言って王龍(ワンルン)を責めることができません。

なぜかと言うと、金持ちは王龍(ワンルン)であって、力を持っているのは王龍(ワンルン)なのです。

話は第二次世界大戦前の話なので、女性の立場は軽視されています。

また、王龍(ワンルン)は阿藍(オーラン)に向かって「お前は醜い」ということばかり言い続けます…。

バカ言え!お前を支えてくれたのは、阿藍(オーラン)だよ!と思い腹正しくなります。

阿藍(オーラン)は尽くして尽くしまくる…

阿藍(オーラン)は、マジで貧乏で金のない王龍(ワンルン)の元に来てくれて、まず介護の必要な王龍(ワンルン)の父の面倒を見てくれます。

もちろん畑仕事も毎日してくれます。

また出産した日にも関わらず、そのまま畑仕事をするぐらいの頑張りようです。

そ、そんなこと可能なの…?超人的に尽くしてくれます…

阿藍(オーラン)は美人ではないけれど、良い女性

阿藍(オーラン)に共感・同情した女性も多いと思います。
奴隷として金持ちの家で働き、美人でないからこそ家の者も手を出さないと考え、王龍(ワンルン)の家に嫁いでもいいと許可を出されます。

嫁いだ先は、貧乏な上に介護をする父親がいますし、働かなきゃいけない…。

でも、阿藍(オーラン)は身を粉にして働きます。

南の街に行った時には、乞食までして稼いでくれます。

子供は3人の男の子、白痴の娘、不作の年に亡くなった子供を含めて5人出産しています。

金持ちになれど、子育て、居候、愛欲、白痴の子供 子供同士のイザコザ…悩みは尽きない

王龍(ワンルン)は土地をたくさん買い、家族全員に奴隷をつけるほど金持ちになりますが、悩みは尽きません。

そりゃあ家に愛人を第二夫人として迎えたらね、家族嫌でしょうよ。

でも、金持ちはそこまでしても許される時代(周りの金持ちもしていた)。

水商売で育った、第二夫人は畑仕事を嫌い、白痴の娘を嫌ったりね。

王龍(ワンルン)の長男が第二夫人と仲良くしているのを見て、王龍(ワンルン)が見つけてボコボコにしたり…子供を結婚させないとと悩んだり。

また、居候で働かない叔父さんを追い出そうと叔父さんにキレると、叔父さんが馬賊(盗賊・ヤクザみたいなもんか)と判明してしまい。ビビリまくったりwww そりゃあ怖いですな。

面白かったところ、居候の叔父をやっつける方法w

王龍(ワンルン)と長男ですが、このうっとおしい叔父に対してある方法を思いつきます。

それが阿片です。

阿片吸わせまくってたら、使い物にならなくだろうと。

王龍(ワンルン)は街に行って、阿片を買い叔父に吸わせまくります。

叔母も一緒になり吸うことで、使い物にならなくなり、田舎の家にほったらかしにすることに成功します。

痴呆症の父親、笑ってしまうさて、痴呆症の父親に翻弄される家族の様子も小説では書かれています。

南の街でお金がない家族は、王龍(ワンルン)以外は、乞食(物乞い)をして稼ぐのですが、父親はボケて乞食もマトモにできません…。

また王龍(ワンルン)が迎えた第二夫人を見た時に「家に淫売がおる、淫売がおるぞぉ~」と騒いだ時も面白かったですね。

おじいちゃんになってでも、淫売はわかったんですね…。

白痴の子供、障害者の子を持つ苦しさ作者のパール・バックも同じだった

白痴の子供が描かれていますが、なんとパール・バックも子供に白痴の子供がいたようです。

なので、詳細なことまで表現できるんですね。

人生やはり悩みは尽きない… 金持ちになっても悩み続ける

さて、王龍(ワンルン)は土地にこだわって持ち続けて、周りの百姓と違い堅実に仕事に励むおかげで周りに比べ裕福になります。

元々金持ちの黄家から、奴隷のオーランを妻として迎えますが、晩年にはこの黄家の家を借りそこに住みます。

長男は金持ちになって学者の道に進みますが、夫人との仲は悪く、長男も父親と同じように水商売に通いだらしなくなります。

次男はお金儲けはうまいので、特に問題はないのですが、三男は突然軍人になる!と家を出ます。

王龍(ワンルン)はこの頃にはもうおじいちゃんで、おじいちゃんになっても悩む様子が描かれています。この小説では、王龍(ワンルン)が亡くなるところまで描かれています。

私は「大地」を大嶋信頼さんがオススメをしているので読みました。

私は「大地」という小説を、大嶋信頼(おおしまのぶより)さんがオススメしていたので読んでみました。

大嶋信頼さんは、多くの本を出している人気のカウンセラーです。
私自身も大嶋さんの本を愛読しており、その中やインタビューなどで「パール・バックの『大地』はおすすめですよ」とおっしゃっていたのがきっかけでした。

※ちなみに、大嶋さんのところでカウンセラーになるには、西洋文学の読書が必要らしいです。

さて、読んでみて最初に感じたのは、主人公の王龍(ワンルン)をはじめ、登場人物たちがとてもだらしなく、強欲で、汚い部分も多いということです。

でも…読み進めるうちに、「あれ?こんな汚い部分、自分にもあるかも」と思えてきました。
他人に対して「あの人ないわ〜」と思うことも、実は人間の本質かもしれません。
だからこの作品を読んでいると、自分の中の「汚い部分」や「人間らしい弱さ」と向き合えるのです。

大嶋信頼さんいわく、西洋文学は「感情を言葉にする」のがとても上手だそうです。
そして、ストレスは「感情を言葉にできないと、外に出せずにたまってしまう」ことが原因の一つ。

「大地」は、人生のあらゆる場面──喜び、怒り、欲望、絶望など──が非常にリアルに描かれています。
そしてその感情を丁寧に言語化してくれている。

だからこそ、読んでいくうちに「あるある!その気持ち、わかる!」と共感し、ふと気づくと自分の中にあったモヤモヤした感情が消えている…そんな体験がありました。

人間の本質に向き合うことで、メタ認知能力が高まり、ストレスへの耐性も上がる──
そんな力をこの作品は持っていると感じます。

ちょっと重たい小説ではありますが、人生に迷ったとき、心がザワザワするときに、
ぜひ一度読んでみてほしい名作です。おすすめです!

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大地 第一部

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